第 019 回
奈良では、神と仏が隣り合って立っている。
春日大社の鳥居をくぐれば、すぐそこに興福寺の塔が空を指す。神道と仏教、それぞれの教えを持ちながら、この地では1000年以上も穏やかに並び立ってきた。
どちらが正しいか、などという問いは奈良では意味をなさない。春日山の神も、興福寺の仏も、それぞれの「正しさ」を持ちながら、お互いを否定することなく、今日もこの街を静かに見守っている。
この世に、万人に通ずる「正解」はない。
人の数だけ「正解」はある。
これは、「正義」にも置き換えられる。
よって、他人を否定し、自分の「正解」や「正義」を主張するのは、ナンセンス。
他人の「正解」や、「正義」も尊重する。さすれば、この世は劇的によくなる。
奈良の街がそれを、千年をかけて証明し続けている。