第 023 回
若草山は毎年、冬のおわりに火を放たれる。
山焼きと呼ばれるその炎は、容赦なく枯れ草を焼き尽くす。夜空を赤く染めながら、山全体を包み込む。
しかし奈良の人々は知っている——焼かれた大地からこそ、春の若草は一番鮮やかに芽吹くことを。
炎がなければ、あの鮮烈な緑はない。
昔、問題や悩みに直面した私に対し、祖母がよく言ってくれた言葉がある。
「天は、その人に乗り越えられない問題を与えない。」と。
つまり、どんな人でも乗り越えられない問題はない、ということ。
試練や問題、そして困難は、わたしたちを磨く砥石。
ならば、それらと戯れようじゃないか。
若草山の草は、焼かれるたびに強くなる。わたしたちも、きっとそうだ。