新薬師寺? え、あの薬師寺じゃなくて?【見どころ・十二神将・拝観料・アクセス】
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皆さん、2記事目でご紹介した西大寺はいかがでしたでしょうか?ひと味違った『奈良』を堪能されたことと存じます。
今回は、大和西大寺駅周辺から少し離れ、皆さんよくご存知の近鉄奈良駅周辺へと舞台を移しましょう。
しかし、近鉄奈良駅周辺と言いましても、メジャーな史跡ではなく、このブログのコンセプトが如実に表れている場所を巡ります。
今日の舞台は、「新薬師寺」です。
え、あの有名な薬師寺じゃなくて?「新」がついてる?どこ? ——そんなあなたにぴったりのご紹介です。
新薬師寺について — あの薬師寺とは、別のお寺
超メジャーである薬師寺に比べ、圧倒的に静かな新薬師寺。こじんまりとした境内で、観光地の人込みに疲れた方は是非ここでひと休み。
名前はよく似ていますが、薬師寺と新薬師寺は、まったく別のお寺です。世界遺産の薬師寺は、奈良市の西部「西ノ京」にある法相宗の大本山。一方の新薬師寺は、奈良公園の南、高畑(たかばたけ)の閑静な住宅街にたたずむ華厳宗のお寺です。
「新」とついていても、薬師寺の新しい版というわけではありません。この「新」は「新しい」ではなく、霊験(れいげん)あらたかの「あらた」を表す、と説明されることが多いようです(新薬師寺の公式サイトには、名前の由来の記載はありません)。
新薬師寺は、天平19年(747年)、聖武天皇の病気平癒を祈って、光明皇后が建てたお寺と伝わります。創建当時は、七体の薬師如来をまつる巨大な金堂をはじめ、東西の塔も備えた大寺院でした。その金堂の跡は、今の本堂から西へ150メートルほどの、奈良教育大学の構内で見つかっています。
金堂は平安時代の暴風で倒れ、今は残っていません。けれど、今の本堂は奈良時代に建てられた、貴重な天平建築(国宝)です。
しかし、小さいからと言って侮ることなかれ!ここには他では見られない、秘仏(国宝)があります。
それは、本堂にある『十二神将立像』。我が国で最古・最大の十二神将像です。その楽しみ方は、「境内の見どころ」で、私のおすすめの順番とともにご紹介します。
アクセス基本情報
新薬師寺へのアクセス ~ 近鉄奈良駅からの行き方 ~
*2番出口方面へ。
後に『異空間』とのコントラストを楽しむ為にも、まずは超メジャー区域を通り、あふれかえる人に揉まれ、鹿さんに挨拶し、そして鹿さんの糞をたっぷり踏みながら、ご散策をお楽しみください。笑
ここから、一気に人がいなくなり、異次元の空間に迷い込んだ様!閑静な住宅街の風情を楽しみながら進みましょう。
境内の見どころ — 南門から歩く順に
ここからは、私がいつも歩いている順番で、境内をご案内します。ポイントは、本堂には最後に入ることです。先に本堂を楽しむのもいいのですが、ビデオと展示で予備知識をもってからの方が、本堂の十二神将を倍楽しめます!
南門 — 境内への入口
まずは、南門から境内へ。鎌倉時代に建てられたと考えられている、新薬師寺の表門(重要文化財)です。柱には「西国薬師 第六番霊場」「大和十三佛 第七番霊場」の札が掲げられています。
本堂を、まずは外から
南門をくぐると、石畳の参道の先に本堂が正面に見えます。なだらかな曲線を描く大屋根と、大きな白壁。奈良時代の創建当初から残る、堂々とした天平建築です。
本堂に向かって左には地蔵堂、右には鐘楼(いずれも鎌倉時代・重要文化財)が建っています。鐘楼の梵鐘は天平時代のもので、鬼退治の伝説が残る釣鐘としても知られています。
あえて庭へ — ビデオと展示で、予備知識を
本堂の外観を眺めたら、あえて本堂には入らず、庭の方へ向かいます。庭への入口は2か所あり、どちらからでも行けます。
この先では、新薬師寺を詳しく紹介するビデオが上映されています。ここで、お寺の歴史や仏さまについて学んでおきましょう。
あわせて、創建当時の七仏薬師の金堂跡など、旧境内から見つかった灯明皿・軒丸瓦・奈良三彩も展示されています。かつての大寺院の姿を、今に伝える品々です。
本堂 — 暗闇の中で、十二神将と出会う
予備知識を蓄えたら、いよいよ本堂の中へ。本堂入口の券売機で拝観券(大人600円)を購入し、入口の係員の方に渡して下さい。
本堂内は写真撮影不可である為、その様子をお届けできないのは残念ですが、それは皆さんがご自身の目で確かめる楽しみとして取っておきましょう。
本堂の中に入ると、まず下界から隔絶された暗闇があなたを襲います。でも、恐れずにしばらく待ってみて下さい。自然に目が慣れてくると、十二神将が徐々にその壮観なお姿を現し始めます。この暗闇が、下界とのリセットの役割を果たしているのです。
円形の土壇の中央には、ご本尊の薬師如来坐像(国宝)。そのまわりを円陣で取り巻いて守っているのが、ほぼ等身大の十二神将立像です。
目が慣れてお姿が見え始めると、十二神将のそれぞれの個性に目を見張ることでしょう。訪れた方は、ぜひご自分のお気に入りの像を探してみて下さい。
十二神将と干支の一覧 — あなたの干支の神将は?
十二神将は十二の方角を守ることから、干支(十二支)の守護神としても信仰されています。お気に入りの像を探す手がかりに、まずはご自分の干支の神将から探してみてはいかがでしょうか。
| 干支 | 十二神将(新薬師寺での呼び名) | 国宝 |
|---|---|---|
| 子(ね) | 毘羯羅(びぎゃら)大将 | ○ |
| 丑(うし) | 招杜羅(しょうとら)大将 | ○ |
| 寅(とら) | 真達羅(しんだら)大将 | ○ |
| 卯(う) | 摩虎羅(まこら)大将 | ○ |
| 辰(たつ) | 波夷羅(はいら)大将 | ×(昭和6年の補作) |
| 巳(み) | 因達羅(いんだら)大将 | ○ |
| 午(うま) | 珊底羅(さんてら)大将 | ○ |
| 未(ひつじ) | 頞儞羅(あにら)大将 | ○ |
| 申(さる) | 安底羅(あんてら)大将 | ○ |
| 酉(とり) | 迷企羅(めきら)大将 | ○ |
| 戌(いぬ) | 伐折羅(ばさら)大将 | ○ |
| 亥(い) | 宮毘羅(くびら)大将 | ○ |
※ 名前は新薬師寺での呼び名です(国宝に指定された際の名前とは、一部異なります)。2026年9月、新薬師寺の公式サイトで確認しました。
実に興味深いことに、十二体の内、辰年に当たる波夷羅(はいら)大将だけが、江戸時代末期の地震で壊れ、昭和6年(1931年)に新たに作られた為、国宝ではないのです(それ以外の11体は、奈良時代の塑像で国宝です)。
辰の像だけが受難の末、唯一国宝ではないという事実と、筆者夫婦がその辰年生まれである、ということもあって、筆者は波夷羅大将に惹かれます。
ちなみに、戌の伐折羅(ばさら)大将は、500円切手の図柄にもなった、十二神将の中でもとりわけ有名な像です。
ひと通り十二神将を眺め、お気に入りの像を見つけたら、今度は奥の椅子に少し座ってみて下さい。そして、改めて暗闇にぼんやりと映る秘仏をゆっくりと眺めながら、静けさと暗闇の力も借りて、ご自分の心を見つめて欲しいのです。不思議と、あなたの悩みも消えてなくなるかも知れません。
もしあなたが、にぎやかな場所の方が好きだとしても、この秘仏を拝みに来るだけでも十分価値があります。是非少し足を伸ばして、その魅力を自らの目で味わってください。
拝観案内 — 拝観時間・拝観料・バス
| 拝観時間 | 9:00〜17:00 |
|---|---|
| お休み | なし(行事などで拝観を停止する日があります。公式サイトのお知らせでご確認ください) |
| 拝観料 | 大人・大学生600円/中学・高校生350円/小学生150円 (30名以上の団体は、大人550円・中高生300円・小学生120円) |
| 拝観券 | 本堂入口の券売機で購入し、入口の係員の方に渡します |
| 写真撮影 | 本堂内は撮影できません |
| 所要時間の目安 | 1時間〜1時間半(ビデオ・展示・本堂をゆっくり回る場合) |
| バス | JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バスで「破石町(わりいしちょう)」下車、徒歩約10〜15分 |
| 駐車場 | 無料(普通車15台) |
| 住所・電話 | 奈良市高畑町1352/0742-22-3736 |
※ 2026年9月、新薬師寺の公式サイトと奈良市観光協会のサイトで確認しました。所要時間の目安は、奈良在住の私(まさる)の実感です。お出かけ前に最新情報をご確認ください。
おすすめの訪ね方 — 明るい季節の午前に
新薬師寺を訪ねるなら、私のおすすめは、新緑の季節のように、明るい時間帯と暗い時間帯がはっきりしている季節の、明るい時間帯(午前)です。
外が明るければ明るいほど、本堂での暗闇とのコントラストが際立ち、本堂での体験がより濃くなると思うからです。
私のおすすめの回り方(南門 → 本堂の外観 → 庭 → ビデオ → 展示 → 本堂)を十分な時間で回るなら、1時間〜1時間半を見込んでおいて下さい。もちろん、本堂でご自身と向き合うのに何時間もかけたい方は、その時間を見込んで、余裕をもって訪れて頂きたいと思います。
午前は新薬師寺、午後は白毫寺へ。すぐ近くの白毫寺(No.004)も、ぜひあわせて訪れて頂きたいお寺です。新薬師寺は午前中いっぱいを目安に、白毫寺は正午以降〜午後がおすすめです。
年に一度の「おたいまつ」— 4月8日
毎年4月8日には、修二会(しゅにえ)の「おたいまつ」が行われます。公式サイトによると、夕方5時から本堂で法要が営まれたあと、夜7時から、長さ7メートルを超える大松明10本と籠松明1本が、僧侶を先導して本堂の周りを回ります。燃え盛る松明に本堂の白壁が朱に染まり、境内の満開の桜が白く浮かび上がるそうです。
4月上旬に奈良を旅される方は、日程を確認してみてはいかがでしょうか。
新薬師寺周辺について — 白毫寺と「山の辺の道」
新薬師寺から目と鼻の先には、4記事目でご紹介している白毫寺があります。ここまで来た方なら、是非そちらも合わせて訪問してみて下さい。
白毫寺へ向かう道の途中には、「山の辺の道 白毫寺へ」と刻まれた石碑が立っています。山の辺の道は、記録に残る日本最古の道として知られる古道で、三輪山の麓から春日山の麓まで、奈良盆地の東の山すそを縫うように続いています。まさに、奈良らしい風情あふれる「歴史の道」です。道中の様子は、白毫寺の記事でご案内します。
よくある質問
新薬師寺と薬師寺は、同じお寺ですか?
いいえ、別のお寺です。薬師寺は奈良市西部の西ノ京にある法相宗の大本山、新薬師寺は奈良公園の南・高畑にある華厳宗のお寺です。名前の「新」は、「霊験あらたか」の意味と説明されることが多いようです。
拝観料はいくらですか?
大人600円、中学・高校生350円、小学生150円です。本堂入口の券売機で購入します。
見学にはどれくらいの時間が必要ですか?
ビデオ・展示・本堂をゆっくり回るなら、1時間〜1時間半が目安です。
本堂の中で写真は撮れますか?
いいえ、本堂内は撮影できません。十二神将は、ぜひご自身の目で確かめて下さい。
バスで行けますか?
はい。JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バスに乗り、「破石町」で降りて、歩いて約10〜15分です。歩いて行く場合は、写真付きの行き方をご覧下さい。
新薬師寺の魅力について
今回のレポート、如何でしたか?最初は超有名な道、一見通常の観光ガイドかな?と思わせるルートを通りましたが、その後まもなくそれとは非対称な空間に入って到着した新薬師寺でしたね。
薬師寺をご存知の方は、「新」が付く薬師寺ということで、大きな寺と勘違いされるかも知れません。しかし、ご紹介した通り実際は違います。先の記事で紹介した、現代の西大寺が東大寺と比べて対照的なのと同じ様に、薬師寺と新薬師寺も名前は似ていますが全くの別物です。
しかし、だからこそ、渋い奈良を愛する私にとってはたまりません。その飾らない風情が格好良いとさえ思えます。
新薬師寺へ、是非足を伸ばしてみて下さい 🌿
是非、道中の閑静な奈良の住宅街の雰囲気も含め、この新薬師寺を楽しんで下さい。